【光造形】上手く造形する為のサポートの付け方・設置の仕方について①(検証編)【Photon】

光造形
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光造形での造形にあたり、モデルによっては上手に造形出来ない事が多々ありますよね(*_*; 

 ここでは、Anycubic photon等の光造形で上手く造形する為のサポートの付け方・設置の仕方について解説していきたいと思います。

この記事内容はこんな方に向けております( ..)φ

・造形後の形が歪になってしまい、上手く造形するコツが知りたい
・サポートの設置方法が分からない
・自動のサポート設定したが、形が歪になっている…

 光造形は基本的には下から上の方向で一層ずつ積み重ねて造形していくわけですが、モデルによっては当然サポートが必要になったりします。スライサーソフトには自動でサポートを設置してくれる機能はありますが、実際やってみても崩れている等はよくある話ですよね(-_-;)

 

 今回は実験検証により上手に造形する為のモデルの設置方法やサポートの設置方法等について解説していきたいと思いますので、御参考になれば幸いですm(_ _)m

本記事の造形機種は「Photon-S」での内容となります。

※光造形の基本について下記の記事で解説しておりますので、まだご覧になられていない方は一度御参照下さい。

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造形サポートについて

 下図のティラノサウルスのモデル例では赤丸部にて造形途中で造形体についていかず、レジンバット内に残ってしまい造形できなくなってしまいます。その為、こういったモデルではそのままの造形は困難になります。

 

その為、このような造形ミスを回避するには、下記のような対策方法があります。

・3Dデータの編集で、出来るだけ造形方向に対して中空になる部位を無くす。
・造形する向きを変えて、造形してみる。
・中空部分にサポートを設置する。

 上記の中空部分のサポートの設置については、下図のように造形途中で独立しないような支えとなる足を”サポート”といい、スライサーソフトで簡単に自動設置する事が可能です。

※photon workshop のサポート設置方法については下記の記事を御参照下さい。

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 ただ、上記のような自動サポート設置だけでは、ところどころで歪に崩れている部位がいくつか見られます。

 上図のような崩れに対して、造形の崩れ方やサポートの効果等 色々実験検証していきたいと思います。

検証①:造形の崩れる角度は?

 造形において、積層方向に対してモデルが真っすぐであれば問題なく造形は可能となりますが、角度が大きくなれば形が保てず崩れてしまいます。そこで、造形中で形が保てず崩れてしまう角度を下記のモデルより検証していきたいと思います。

検証モデル①

 検証モデル①として、下図のように角度を15°ずつ傾けたモデルで造形の崩れていく角度を検証していきたいと思います。(※板厚:3mm、板幅:20mm)

 

検証モデル②

 検証モデル②として、下図のような円弧形状のモデルでも検証していきたいと思います。検証①のモデルに沿った形状にて、角度を15°ずつで線と表記を付けたモデルで同様に造形の崩れていく角度を検証していきたいと思います。(※板厚:3mm、板幅:20mm)

造形条件について

 上記の検証モデル①、②よりサポートなしで下図の造形条件でスライス変換を行い、造形を進めていきます。

 またレジンには、下図の水洗いレジンの「ELEGOO Water Washable Photopolymer Resin」を使用します。

検証結果

 上記の条件より下図のように造形が完了しました。

 プラットフォームから取り外し、洗浄・乾燥させると下図のような物となりました。

 造形結果から、

(造形方向に対して)約70°付近より、形が保てず崩れてきてしまうようです( `ー´)ノ

検証②:サポートによる効果は?

 造形において、中空部位に対して形を保持させる手法としてサポートがありますが、保持できる範囲はあります。そこで、下記のような中空部位をもつ検証モデルより、サポート足1つでどこまでの範囲を検証していきたいと思います。

検証モデル③

 検証モデル③として、下図のような直径30mmの円盤にて下からサポート足を1つ立ててみて、造形によりどの範囲まで形を保てるか検証していきたいと思います。円盤には表裏に1㎜毎に線と表記をつけておき、どこまで形を保てるか見てみましょう。但し、サポート足1つだけではモデルを支えきれない為、端に支える為の脚を作っておきました。(※板厚:3mm、円盤までの高さ:10㎜ )

 

造形条件について

 上記の検証モデル③より、円盤底の中心よりサポートのサイズ「Light」、「Medium」、「Heaby」の各サイズで設置し、下図の造形条件でスライス変換を行い、造形を進めていきます。(※パラメータは各デフォルト値となっております。)

 また比較用として、裏向けてサポート無しの条件でも造形を進めておきます。

 またレジンは、検証①と同様のものを使用します。

検証結果

 上記の条件より下図のように造形が完了しました。

(※比較用は別途造形しました。)

 少し見えにくいですが、サポート「Light」と「Medium」では保持できず円盤から外れている状態で、「Heavy」だけはかろうじて付いている状態でした。

プラットフォームから取り外し、洗浄・乾燥させると下図のような物となりました。

(※サポートサイズ Light は、取り外し中に足が折れてしまいました(*_*;)

また各サイズで比較用と並べて横から撮影したものが以下となります。(※下側が比較用)

造形結果から、

どのサポート足でも形が1㎜の範囲も形を保てず崩れてきてしまうようです
・モデルを支える力としてはサイズが大きい方が効果が高いといえます。

 ※サポートのサイズが大きすぎると、モデルから切り離す作業が難しく、モデルが欠けてしまいやすくなるので要注意です(*_*;

検証③:造形角度とサポート条件はどちらの影響が大きいか?

 検証①、検証②にて造形にあたり形の崩れる角度やサポートの効果が分かってきました。そこで、下記のような検証モデルで造形角度とサポートの組み合わせによりどの組合せがより綺麗な造形が出来るか検証していきたいと思います。

検証モデル④

 検証モデル④として、下図のように地面方向に対して角度を0°、15°、30°(造形方向に対しては90°、75°、60°)傾けたモデルで、サポートサイズ「Light」、「Medium」、「Heaby」の各サイズで設置したもので、各造形によりどの条件が最も形を保てるか検証していきたいと思います。

(※板厚:3mm、板幅:20mm)

造形条件について

 上記の検証モデル④より、角度0°、15°のモデルにてサポートのサイズ「Light」、「Medium」、「Heaby」の各サイズで設置し、下図の造形条件でスライス変換を行い、造形を進めていきます。(※パラメータは各デフォルト値となっております。)

角度30°のモデルは検証①の結果からサポートなしで設定しておきます。

注意!

 上記のモデルにて自動サポートの設置の際、下図のようにモデルとサポートのボトム層が重なっており、そのような場合はモデルとサポートが一体化してしまい、サポートの取り外しが非常に困難になります!その為、サポートとモデルが重ならないようにサポート側のサイズ調整か一部サポートを除去する必要がありますので要注意です!

※今回はサポート効果の検証を兼ねている為、あえてそのままにしておきました。

検証結果

 上記の条件より下図のように造形が完了しました。

 少し見えにくいですが、角度0°のサポート「Light」と「Medium」では一部プレートが外れている状態で、その他はサポートが付いている状態でした。 また角度30°モデルはサポート無しでも綺麗に出来ておりました。(‘ω’)ノ

 プラットフォームから取り外し、洗浄・乾燥させると下図のような物となりました。

●角度15°モデルの各条件結果

☞どのサポートサイズ条件でも、裏面はやはり歪となっており凸凹具合はどれも同じ感じです。

●角度0°モデルの各条件結果

☞こちらもどのサポートサイズ条件でも、裏面はやはり歪となっておりました。またサポート「Light」の条件はサポートが剥がれていた事もあり反りが大きい状態で、「Medium」も先端側が少し反っている状態でした。

造形結果から、

サポートのサイズ条件で、表面の歪具合にはあまり差異が無かったが、モデルの保持力が異なり反り具合に変化が見られた・サポートと造形角度の影響では、造形角度の影響の方が大きい

 

まとめ

上記の各検証①~③の結果より、以下の事が考えられます。(‘ω’)ノ

①上手く造形をする為には造形角度を重視した方が良さそうであり、出来るだけ角度が約20°以下(造形方向に対しては約70°以上)になる部位を抑えるモデルの配置が必要そうです。

「Automatic Support」「Auto Support Angle」にて、”20°”付近に設定し、モデルの20°付近になる部分がなるべく少ない向きを調整すると良いです。(‘ω’)ノ

②モデルを支える力としてはサポートサイズが大きい方が効果が高いといえます。

➡支えが必要そうなモデルにはなるべくサポートを大きめにすると反り等を抑制し、形状が保ちやすくなります。但し、サポートの取り外しが困難になり、サポート跡が大きく残る恐れもあるので注意が必要です

サポートはモデルと重ならないよう注意が必要です。

➡サポートの設置の際には、サポート部位とモデル部位が重なると一体化してしまい、サポートが取り外しにくくなる為、サポートとモデルは重ならないように設置しましょう

造形中に造形本体部と離れた位置から造形が始まる部位がある場合、その最も低い位置にサポートが必要となります。

➡上図のように本体から離れた位置に造形部位がある場合は、その底面にサポートがないと崩れてしまうので注意! ※自動サポートでも時々底面位置に無い場合がある為、その時は手動でサポートを設置しましょう(‘ω’)ノ

以上の事を注意してサポートやモデルの向きを変えてやる必要がありますね ( `ー´)ノ


 今回は上手に造形する為のモデルの設置方法やサポートの設置方法等について各実験検証を元に解説致しました。

 これまで様々な形状のモデルにてサポートを駆使して造形を行ってきましたが、表面が歪となる課題はずっとあった為、一度上記のような実験を検証したいと思い、今回は一通り試すことが出来ました。正直サポートで条件である程度、歪具合は抑えられるかと思ってましたが、ダメでしたね…(*_*;

 まだ造形条件の調整により、形を更に改善できるかもしれませんが気が向いたらまた検証したいと思います。

 

 今回の検証で分かった事から次回はティラノサウルスのモデルを更に綺麗に造形出来るよう検証していきたいと思います。

次回の記事

以上
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました。
Special Thanks to YOU!

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